いつもと同じ時間、同じ車両。

今日は、メチャクチャ混んでる。

丁度、斜め向かいに立っている彼。

彼も、眉間にシワを寄せ、この混雑に耐えている。

(……っ!?)

ゾワッ!と鳥肌が立った。

(お、お尻……触られて、る……?)

混んでいるから、手が当たってるだけだろうか?

……いや、違う。

(完璧に触られてるっ!)

声を出そうとしても、出ない。

(どうしよう!)

カバンをギュッと抱える。

「いでっ!いででででっ!」

「おっさん、何してんの?」

振り向くと、彼がサラリーマンの腕を捻り上げていた。