「私達兄妹は星宮麻耶・星宮颯という名前ではないの。
この名前は、私達が亡くなってからつけられた名前だから。
亡くなった…というより殺されたという方が正しいのかもしれない。
私達兄妹の過去、それは私達が三歳の頃から始まった。
その時の私の名前は『榎本来夏』
颯兄の名前は『榎本雷人』だった。
風神の幹部は、私がハッキングしているところを見ていたね。
気づいたかな?」
私が自分を嘲笑うかのようにして彼らに笑顔で話した。
「そう…私と颯兄の実の兄である
『榎本大輝』がいるのよ。」
「麻耶、そこからは俺が話す。」
颯兄はそう言うと、過去を話し始めた。
「俺たちは生まれた頃から
この髪と目だったから、両親達に
暴力を振るわれていた。
榎本家は極道だから、組員に命令してまで殴られたりしたよ。
俺たちの心の支えは兄弟だったんだ。
俺たちが三歳の頃…
体力的に危なくなってきた時、
大輝兄が警察を呼んだんだ。
その時、私達は警察が気付かない所で
監禁されていたから捕まらなかった。
両親は大輝兄が警察を呼んだと気付き
大輝兄も暴力を振るわれ始めた。
そして四歳の頃…
大輝兄や私達が最近幼稚園にも病院にも行かないことを不思議に思った警察が、家に乗り込んできたんだ。
それに気づいた両親は、俺と麻耶……
雷人と来夏を崖から突き落としたんだ。
大輝兄は、偶々警察が見えている所に
立っていたから突き落とされなかった。
暴力の跡は服で見えなかったから、
警察は逮捕出来なかった。

