この高校は第2志望だった。
中1の時から必死に勉強したのに、落ちた。
その時の気持ちはただ一つ。
焦燥感だけ。

父は教育熱心な、厳格な人で、母がそれに耐えられず、出て行ったのはわたしが小学生の時のことだった。

そんな父には、落ちたわたしは恥さらし者に見えたのだろう。
高校進学と同時に1人暮しをするようにと言われた。
1人暮しは別によかった。
あの父から解放される、と嬉しかった。

でも、
「おまえに期待した私が馬鹿だったようだ。もういい。満月(みつき)だけでいい。出て行け。盆と正月以外帰ってくるな。」
その言葉は胸に突き刺さった。