「なぁ、思ったんだけどさ…それは
笑顔に一目惚れであってるのか?」

(あっ、そこツッコム)

「いや、だって考えて?告白で照れた
顔に一目惚れってちょっと…引かないか?」

そう言うと拓也はしばらく考え込んでから

「プッ」

と小さく吹き出した。

「ほら、そうなるだろー」

信号が赤になって俺達は歩くのを

止めた。今日は月曜日、上野さんを

落とす2週間の1日目だ。 

拓也をみるとさっきの話を引きずって

いるのかくしゃっとした笑顔を見せた。

拓也は元々目ははっきりしているが、

笑うと無くなってしまう。それは、

拓也と出会った時から変わらない。

「そう言えばさー俺お前が上野さんにどう
告白したのか聞いてないんだけど…」

「あー…それなぁ」

俺は上野さんにどのように告白したのか

事細かに説明した。段々と拓也の顔が

気まずいような、笑うのを堪えるような

顔になっていった。全部話し終わった

ところで俺は拓也を軽く睨みながら

「言いたい事があるならどうぞ?」

と言った。信号は青になって俺達を

含め待っていた人達が一斉に歩きだした。

この波に飲まれるようになってから1年と

ちょっとがたったが、やっぱり慣れない。

「お前は、昔の少女漫画を参考に
したのかぁ?!」

「えっ!」

拓也の顔を見ると呆れたように笑っていた。

「放課後呼び出し、これはいい。でも花束で
花言葉使うって何?痛いわっ!大怪我っ!」

(出た!拓也の三段ツッコミ)

「いやいや、全然少女漫画とか参考になんか
してないけどロマンチックだろ?」

「いや、ロマンチック通り越して痛々しい」

「マジかぁ」

「マジだよ!お前ほんと昔から残念だよな
外見は完璧なのに」

(そう言うなら、拓也も残念なイケメン
だと思うけど)

「何、笑ってんだ?ん~?」

「ごめん、何もない」

そんな事を話しながら歩いていると

もう、学校の門前に着いていた。