「洗って…かえ、すね」

涙声で掠れながらに言ったその言葉に

俺は

「良いよ」

と言って断った。普段なら

続けて言ってくるはずの上野さんも

納得したのか静かに頷いた。

「その、今までごめん。俺しつこかったし
嫌な事思い出さすような事してて…」

「違う!成瀬君は悪くない…私が馬鹿
だったから…恋愛は甘くてふわふわしてる
って思い込んでた私が、悪いの…」

段々小さくなっていく上野さんの声に俺は

上野さんの心の傷はかさぶただけの中が

まだまだ血塗れだという事に気が付いた。

(情けないな、俺…好きなくせに全然
上野さんが抱えてるもの分かって
無かったんだ)

そう思った、思ったものの伝えたい事が

あった。