蜜漬けの恋

そう聞くと奏は一瞬目を見開いてから

笑顔で言った。

「うん、好きだった。俺の望み通りの
ヒロインをしてくれた優羽は本当に
可愛いくて好きだったよ」

そう言うとヒラヒラと手を振って奏は

帰っていった。

「何、それ。何なの?」

奏が屋上から居なくなると同時に

私は泣き崩れた。さっきから混乱して、

酷く言葉の整理が出来なくなっていた。

(じゃあ、何?私を見つけるよりも先に
私みたいな子がいたらその子でも
良かったんだ。別に私じゃ無くても…。
ちょうど良いオモチャ程度に好かれて、
大事にされて、恋人ごっこの相手
だったんだ……)

「ハハ、馬鹿じゃん」

自虐的な言葉と共にボロボロと涙が

こぼれた。

(何が駄目だったんだろ、そっか……
夢見過ぎてたんだ。私)

涙を拭きながら私はフラりと立ち上がった。

(やめよ、夢見るの…。もっと現実的でいい。
甘くなくて……いい)