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それから奏は私が行きたいと言った

店に嫌な顔一つ見せずに着いてきて

くれた。

「もー満足だ!」

いっぱいものを買ったわけでは無かった

でも、奏が着いてきてくれたのが

嬉しかった。

(やっぱり奏、優しいな)

そう思っていると奏が不意に言った。

「優羽、明日の放課後屋上に来てくれない?」

「…良いけど、何で?」

不思議に思った。だってとりわけ明日は

何の日でもないのだ、私にとっては。

「ん~…明日教える」

そう言ったきり奏は黙り込んでしまった、

正直訳の分からない不安が襲って来たが

私は一生懸命払いのけた。

ショッピングモールを出ると来た時と

うって変わってどんよりとした、重く黒い

雲が空を覆っていた。