そうして着いた場所は私の好きな

店だった。値段も高くないし何より

好みがドンピシャなのだ。

「あっ!」

店に入った瞬間、好きな雰囲気のブラウス

が目に入った。

(可愛い~!)

私は小走りで駆け寄った。棚にはおんなじ

型の色違いが並んでいた。

「そういうのが好きなの?」

後ろから奏が話しかける

「うん!ちょっとレトロなのが好き!」

「そうなんだ~」

値段もちょうど良くて買う気満々だった

私は、どれを買おうかと悩んでやっと

二つまで絞れたもののそこから

進まなかった。

「う~ん」

「迷ってるねー」

奏が苦笑いで言った。

「…うん、奏はどっちが良いと思う?」

すると奏は首を傾げながらも

「こっち?」

と指を指した。薄いピンク色のブラウスだ。

「よし、じゃあそうしよ!」

「良いの?」

「うん!奏が選んでくれたのが嬉しいから」

そう言うと奏は何故か少し悲しそうに

笑った。

「……買ってくるね!」

そう言って私はレジに向かった。