一目惚れなんて夢みたいな事実際は

無いんだろうな、と思っていた。

でも、俺のそんな考えが吹き飛んだのは

高1のお別れ会。俺と上野さんは偶然

にも企画係のメンバーとして同じ

グループにいた。その時の印象は

男子とはあまり話さない子、と言った

感じでとりわけ目立つ子では無かった。

そんな印象が一瞬にして違うものへと

変わったのは、たまたま他のメンバーが

用事で、二人きりになった放課後の

集まりの時だった。

***

(あれ、この画面を先に出したい時って
どうするだったっけ)

その時俺はどうも苦手なパソコンの

操作に悪戦苦闘していたのだ。

(そもそも、写真も載せたいのに
ファイルもどこを開いて引っ張って
来たらいいんだ?)

そっと画面から視線を外し、画面の縁で

隠れるようにして前に座っている

上野さんを見た。上野さんは全く気づいて

いない様子で、カタカタとタイピング音を

鳴らしながら画面と近くに置いてある

紙の束を交互に見ていた。

(日にちも近づいて来てるのに人数も
足りてないこの状況で迷惑かけられ
ないか…自分で頑張ろ)

そう思って画面に目線を戻した時

だった。