「えっ?何、翔ふられたの?」

(うっ)

「へぇー…そんな子も居るんだな。俺は
絶対大丈夫だと思ってたんだけどな」

「うるさい」

「ははっ、悪い悪い何か感慨深くて
そうか~…」

電話越しでも拓也(たくや)が辛辣そうな

顔をしているのが伝わってきた。

「いつぶりだっけ、翔が本気で好きに
なったのって」

「小5だよ」

クスクスクスクスと拓也の堪えきれてない笑いが

聞こえきた。

「拓也?聞こえてるぞ??」

「すんません!!……でも、うん。また
今度何か奢ってやるよ!それで次に
向かって…」

「え?あー…諦めてないんだけど…」

「え?」

「うん」

「いや!うん、じゃなくて女々しいぞ
お前!確かに6年ぶりの本気の恋で
気持ち入るのは分かるし、中学からの
付き合いでお前が諦め悪いのも
知ってるけど、まず相手が困るだろ!」

余りの的確な意見に俺は返す言葉が

無かった。小さなため息が電話の向こう

側から聞こえた。

「上野さんに2週間だけ待って
もらえるように頼んだ…一応受け入れて
くれた」

「……そうか、で、頑張るわけ?」

「うん」

「………本気なんだよな?」

「うん。振り回してるって分かってる
から、途中で投げ出したりなんか…
絶対しない」

数秒経った後、拓也が話し出した

「…分かった。お前が本気で恋したの
久しぶりだもんな?…じゃあ、俺は
応援する友としてお前のサポート係兼
ストッパーになってやる!」

期待していなかった言葉に思わず

目を見開いた。

「拓也!お前…、ありがとう。すげぇ
嬉しい」

「おう、でもやるからには徹底的に
やれよ?しつこくない程度で」

「分かった!俺、本気で上野さん
落とす!」

「頑張ろ!やれば出来る!明日また、
作戦たてよう!」

「分かった!ありがとう、じゃあ」

「おう、じゃあな」

そう言った拓也の言葉の後に

電話を切った。(明日、頑張ろ)

そう思いながら、ベッドに潜り込んだ。

今夜は早く眠れそうだ。