蜜漬けの恋

「えっ?」

どうやらびっくりしたのは私だけ

ではなく狭山さんもだった。

「ど、どしたの?桐生君、帰ったんじゃ
ないの?」

そう聞かれた桐生は

「うん、ちょっと用事があるんだよねー」

口調はいつもの穏やかなものだったが

目は全然笑っていなかった。

「ねぇ、里花(りか)ちゃん。君は俺の
何なの?」

「え?」

里花、とは狭山さんの名前だ。狭山さんは

ひどく動揺していた。

「俺が用事あるの優羽ちゃんなの、君じゃ
ないから。後これからは過剰にベタついて
来ないでね」

「えっ、え」

狭山さんは何か言いたげにしていたが桐生君

は無視して続けた。

「じゃーね、狭山さん。」

狭山さん、その呼び方に狭山さんの顔は

固まった。とどめの言葉と言った様子で

狭山さんはフラフラと教室から出ていった。