「え、えーと告白の練習だったら先に
言っといてもらえると助か」

「本気だよ」

瞬間辺りがしん、と静まり返る。

「何で?私なの?」

「何で?難しい質問だね…」

そう言って考え込む成瀬君の瞳は

至って真剣だった。

「私なんか、良いところ1つもないよ?」

「そんな事無い!上野さんには良いところ
いっぱいあると思う」

「どこ?」

「例えば…可愛いところ、色白なところ、
髪の毛が綺麗なところ、爪も手も綺麗だし
後優しいしところ、周りの事よく見てるし」

「も、もう分かったから!恥ずかしいから
やめて」

そう言うと成瀬君はクスクスと笑った。

(成宮君、ちょっとS入ってる?)

「どちらにせよ、俺は本気だよ?」

その声の余りの真剣さに私は思わず

顔を上げた。そこには窓から射し込む

オレンジ色の夕日を背に私をジッと

見つめる成瀬君がいた。流石に

心臓が止まった。

(でも、ダメだ。)

「ごめんなさい。気持ちは嬉しいです、
でも、受け取れません」

そう言って私は頭を深く下げた。

「……分かった、今のところは」

(はい?)

「え?いや、私」

「分かってる!でも、ごめん。諦めきれない
本気で好きならここで引くべきだって…。
でも……。」

(成瀬君…)

「上野さん!勝手だって分かってる!だから、
俺に2週間下さい」

「2週間?」

「そう、2週間。2週間の間に上野さんに
好きになってもらえるように頑張りたいから、
彼氏になって欲しいって思ってもらえるように
なりたいから!お願い」

「成瀬君、気持ちは嬉しいけど私本当に…。」

「お願い」

そう言って成宮君は頭を深々と下げるから

「分かった!から、頭上げて?」

そう言うと成瀬君は頭を上げて満面の笑みで

笑った。

「じゃあ、これからよろしくお願いします!」

「よ、よろしくお願い、します?」

こうして私とイケメン君の不釣り合い過ぎる

謎の2週間が始まったのだった。