蜜漬けの恋

「確かに…夢見てもいいよねー」

後ろからのどこか聞き覚えのある声に

振り向くとなんとそこに居たのは、

ニコニコと笑っている桐生君だった。

「桐生君!!」

私の余りの驚き方に可笑しくなったのか

桐生君はクスクス笑った。

「驚き過ぎ!そんなに俺ー、影薄い?」

普段より若干目尻を下げながら目線を

合わせるように覗きこんでくる。

(近い近い)

「そうゆう事無いんだけどまさか…あるわけ
ないと思って…」

そう言うと桐生君は不思議そうに首を傾げ

「何で?一緒のクラスでしょ??あるわけ
ない事ないでしょ。名前だって覚えてるよ?
上野 優羽ちゃん、それと紺野 絢香ちゃん…
しっかり頭に入ってるよ?」

と至近距離でニコニコ笑った。

(嘘!名前覚えてくれてたんだ!)

「何か用事なの?」

そう聞いたのは絢香だった。

「うん…友達と待ち合わせしてるんだけどさ
なかなか来なくて、それでここでうろうろ
してたら……っていう」

突然ポーンと電子音が鳴った。桐生君は

携帯電話を取り出すと画面を見た。

「あっ、着いてるみたい。じゃあ俺行くね」

そう言って桐生君は目にかかった

暗めの茶髪を手でサッと直した。

「あっ!そうそう優羽ちゃん」

桐生君は思い出したかのように私に話しかけた

「何?!」

「さっきの雑誌の話?全然気にしないでいいと
思うよ?むしろそういうロマンチック?なの
可愛いと思うよ」

そういうと桐生君はニコッと笑ってから

手を振って

「また、学校でね」

と去って行った。