中に入るともう成瀬君は待っていた。

「ごめんね、遅くなって…それと急に
呼び出してごめん」

「いいよ、気にしないで…それより何の
用事?」

そう言った後にどこか悲しそうに笑うから

もしかしたらもう…と思ったが気づかない

ふりをして私は緊張しないように、

あらかじめ考えておいた文章を話し出した。

「成瀬君、やっぱり無理です。ごめんなさい」

そう言って深く頭を下げると成宮君は悲しさ

と少しの穏やかな空気で

「うん、だと思った。」

と言った。頭を上げるとそこには言葉の空気と

一緒の顔をした成瀬君がいた。

「流石に二回もふられると…。理由があるなら
教えて欲しい。」

「………分かった、でもこの話は男の人に
するの初めてだからおかしいところ
あるかもしれないけど…聞いてくれる?」

私のこの言葉に何かを感じたのか成瀬君は

神妙な顔で私を席に座るように促した。私が

座った後に成瀬君は隣の席に座って向かい

合う形になった。

「じゃあ、話すね」

そう言うと成瀬君は静かに頷いた。

あれは、私がまだ恋愛とかそういうものを

ロマンチックに考えて見ていた頃の話だ。