私は絢香のその言葉、態度、

その全てに何故か胸が苦しくなった。

「絢香、謝らないで?むしろ…ありがとう」

そう言うと絢香びっくりしたように顔を

上げた。

「何で?だって私分かってるのに勝手な
自己判断で優羽を傷つけたんだよ?」

「だって絢香は私の事思ってしてくれ
たんでしょ?確かに乱暴な部分あったけど…
でも、嬉しいんだ自分にこんなに
良くしてくれる友達がいるって事が…」

絢香の涙はもう止まっていた。私の涙も

止まっててたまに吹く春風で頬が冷たい。

私は再度絢香の方を見てからぎゅっと

抱きしめた。

「絢香、私ちゃんと言う。」

その言葉に絢香はびっくりしたように体を

離した。

「ちゃんと言って、断って、もう一度
ごめんなさいって誠心誠意伝える。
それで、駄目だったら…絢香、手伝って
くれる?」

そう言うと絢香は満面の笑みで

「もちろん!」

と言ってくれた。その後は二人とも何も

話さなかったけど嫌な空気ではなく

穏やかな空気だった。別れ際になって

絢香は私に言った。

「優羽がしたい事が間違ってない事なら
私は全力で力貸すから!!」

その言葉がたまらなく嬉しくて私は自分が

出来る最高の笑顔を見せながら手を振った。

穏やかな春風が一段と優しく感じた。