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あれから何も話さないまま放課後になった。

また、何かあったら嫌だからと私は絢香を

急かすように帰り支度をさせた。

下駄箱のところに来て絢香はポツリと

言った。

「ごめんね、やっぱ早かったね」

顔を見ると絢香の目は少し潤んでいた。

私はびっくりしてとりあえず絢香の背中に

手を添えるようにして学校の外へと

歩きだした。

ようやく住宅内の公園まで来て、私はそこの

ベンチに絢香を座らせ私は隣に座った。

「早かったって、何が?」

そう聞くと絢香はゆっくり話し出した。

「私さ、最初成瀬が優羽に告白したって
聞いた時、正直ふざけんなって…思った。
何で成宮何だろって。 だって成瀬は優羽の
トラウマ要素を具現化したそのものだから…。
でもふと思った。これを期に優羽のトラウマが
なくなればいいなって。だから小川からの誘い
にも優羽がいないのにいいよって言った。
でも、今日の昼に成瀬と話して昔の事
思いだして辛くなっちゃってたよね」

絢香が泣きながら私に聞いてくるから

私も静かに頷きながら思わず泣いていた。

「優羽の事なんだから、優羽が決めないと
いけないのに私、でしゃばって優羽の事
傷つけた。本当にごめんなさい」

そう言いながら絢香はぼろぼろ涙をこぼした。