俺の声に二人が反応する。

「何だ桐生、お前のか?」

「え?桐生くん、の?」

「違いますからっ!俺そんなthe女性の!!
みたいなの使いませんから」

はぁー、と一息入れてから話を続ける。

「そのハンカチの持ち主知ってるんです。」

(もしかしたら…違うかもしれない。でも…)

「へぇ~…じゃあ…桐生くんに任せるよ」

そう言って店長がハンカチを手渡してきた。

「はい」

ハンカチを受け取ると間髪入れず女性アルバイト…

の間宮さんが目を輝かせながら近寄ってきた。

「ねぇねぇ、桐生くん?もしかしてーもしかすると
そのハンカチの子って…」

とまで言って間宮さんは話の続きを俺に振る。

「……違いますよー。…そんなじゃ、無いですよ。」

俺は勤めて明るくしたつもり…だったがやはり

無理があったのか

「そ、うなの…何かごめんね」

と間宮さんが申し訳なさそうに謝る。

「いえ、俺の方こそ変な言い方してすいません。
知り合いなだけですから」

そう言うと俺はちょっとだけハンカチを

きゅっと握る。

「じゃあ、お先です」

「はーい…お疲れー」

店長と間宮さんの声を背中に俺は裏口から

店を後にしたのだった。