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お互い帰りは好きなもの、嫌いなものの

話をした。嫌いなものがお互いセロリで

セロリの苦手な所とかどうしても食べないと

いけない時はどうしてるかとか、他の人から

すれば大して面白くもない話でもかなり

盛り上がった。

そうこうしてるうちに家が見える筋に

着いた。

「ここで良いよ」

私が言うと成瀬君は不安そうにしながらも

「分かった!」

と言った。

そうしてお別れの言葉を出そうとした瞬間

成瀬君が口を開いた。

「今日、俺とタルト買って食べてどんな気持ちに
なった?」

いきなりのど直球な言葉に一瞬びっくりした。

「え、あどんな気分て…」

(どんな気分?)

自問自答しながら成瀬君との行動を最初から

今まで思い返した。

店での事、公園での事、帰り道での事…

「ドキ、ド、キしたし、楽しかっ、たし
成宮君の事、前よりかはいっぱい
知れた、し…」

(どうしよう、上手くまとまらない…)

焦っていると成瀬君は優しく笑う。

「ふふ、良いよまとめようとしなくて
俺も上野さんと一緒の気分だから」

「………」

どう返して良いか、分からないでいると

成瀬君がメモを取り出した。

「これに俺のleni(レニ)のIDと、もし
何かしらでleniが使えなくなった時に
メアドと携帯番号書いといた。もし、
俺と連絡先交換しても良いって思って
くれたら入れといて」

そう言って成瀬君は私にメモを渡した。

「強制じゃないから、嫌だったら良いから」

「分かった…」

私はメモを生徒手帳に挟んだ。

こう言うところで常々思う。

(成瀬君は本当に優しい)

「今日は、ありがとう。じゃあね!」

私が言うと成瀬君も笑顔で

「うん、また」

そうして私達はお互いに手を降って帰った。

気が付くと普通に暗くなっていて、走って

家に帰った。