蜜漬けの恋

急いで離れようとしても驚きで体が

強張ってしまって軽く右足が店内の

床に擦れ小さくキュ、と鳴るだけだった。

「逃げたら駄目だよ?上野さんには男を
意識する気持ちをもう一度起こさないと
駄目なんだから」

成瀬君はそう言うと悪戯っぽく笑った。

「で?どれとどれなの?」

「え、あ、え…あ、れとあれ」

と私は口をパクパクさせながら指を指した。

「うーん…じゃあ俺、巨峰と洋梨買ってあげる
から気にせず桃とさくらんぼ買って?」