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「おはよ、優羽」

絢香の声に私は机に突っ伏して

いた頭を上げた。

「おはよー、絢香」

絢香は私の顔を見ると呆れた顔を

しながら、通路を挟んで右の席に

座った。

「優羽あんまり昨日寝れてないんじゃ
ない?」

びっくりして絢香の顔を見た。

「何で分かったの?!」

「朝は弱いのはいつも通りだけど
今日はそれ以上に眠そうだし、
クマもできてるし」

「嘘っ!」

私は消える訳ないのに目の下を

こすった。案の定絢香も

「消えないから」

と笑った。

「優羽肌白いから目立つしね」

「そう言ってもらえるのは嬉しいけど
知り合ってすぐの人にはたまに貧血?
とか言われますけどねー」

と皮肉っぽく返した。

「ふふっ、確かに良く言われてる……そうだ
ちょっとどうなってるの?成瀬さんの事」

絢香に尋ねられた私は上げていた頭をまた

スーッと突っ伏す状態に戻した。

「…うん、分かった。そのまんまでいいから
話は聞いて」

そう言われ私は突っ伏したまま

「うん」

と答えた。

「じゃあ、質問1どんな感じで告白
されたの?」

そう聞かれ私は事細かに話した

話終わった瞬間絢香は一言言った。

「ちょっと昔の少女漫画かな?」

「うん、私も思ってしまった」

「あれ?あの成瀬さんは残念なタイプ
やつなの?」

「知らないよ!でも、引きはしなかった
んだよね…むしろ結構」

「マジで?!あーそうか、なんだかんだ
優羽、夢見がちロマンチストガール
成分入ってるしね、薄まっただけで…」

「はははっ、何その成分。…あながち
間違ってはないけど」

そう言うと絢香も笑った

「でしょ?で、話戻すけどアプローチ期間
今日からだよね?思ったんだけど通常運転
のあの軍団がいる限り無理じゃない?」

そう言われゆっくりと顔を上げた。正直

さっきからかなりうるさかった方向へと

目線を向けた。そこには成瀬君とその友人、

小川拓也君を取り囲むように一軍女子が

いた、別のクラスも混ざっている。

私のクラスはうちの高校の2年二大イケメン

が二人も揃っている。1人は通称元気係

スポーツイケメン、小川拓也君。そして

もう1人が穏やか係爽やかイケメン、成瀬

翔君だ。

(成瀬君、あんな風に言ってくれのは嬉しい
けど無理じゃないですか?)

私は成宮君の事は確かにイケメンだと思う。

だから、告白されたのは嬉しいのは嬉しかった

でも、私にとってのイケメンはあそこに

集まっている他の子とは感覚が違う。

だから、私と付き合ってもお互い何にも

特は無いと思う。

(何でこうなった~?)

「う~ん?」

「優羽、顔が中心に集まってる」

そう指摘され私はパッと顔を戻した。

「あのさ、絢香はあの二人の事どう
思ってるの?」

「何が?」

「何かそっけない感じだからさ…どう
なのかな?ーって」

すると絢香はしばらくしかめっ面をして

から言った。

「えー、二人の事はイケメン、普通に
優しい、以上終わりっ!」

それを聞いて私は思わず笑った。