それは余りにも突然だった。

夕日射し込む放課後の教室、そんな場所に

学年内でも有名なクラスのイケメン

成瀬 翔(なりせ しょう)に

呼び出され私は友達の絢香(あやか)に

先に帰ってもらい、待っていたのだ。

……もう一度言う、待っていたのだ! 

(普通さー呼び出した方が先に居るもんじゃ
ないんですか?!)

そんなことを考えながら私は帰り際の絢香の

言葉を思い出していた。

***
「1人だけで放課後の教室に来て、ってベタな
線で考えると…告白?」

「告白?いやいや無い無い。だって私特別
可愛くないし、運動だって平均だよ?
頭だって普通だし…」

「それがいいって言う人もいるかもいる
かもしれないよ?」

「仮にいたとしてもあのイケメンくんが
まさか…」

「…まぁ何かあったら連絡してね、今日はフリーだから」

「うん、ありがとう。じゃあまた明日!」

「うん、じゃあね」
***
(なんて、会話をしたけど放課後、
教室、1人でってホントだったら
少女マンガみた…)

タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ

それは凄まじい廊下を走る音だった。

そしてその音は次第に大きくなって教室に

近づいて来た。

(何何何?)

そう思っているとガラリと教室のドアが

開きそこに立っていたのは

「例の人」成瀬 翔だった。