カハシの主張を見透かしたように,下女は表情ひとつ変えずに答えた.

「水様.

 そんなに御自分をお責めにならないで下さいまし.

 あなた様の血は立派な水様の血ですわ.

 どうか自信をお持ちください!

 どんな人でも初めから完全な神様にはなれない…けど,そのうち慣れていくわ.

 怖がって何もしないのが一番よくないことですわ.」

カハシは納得というよりも,驚きで何もできなかった.

「僕が…僕の血は水…様の血?」

それから少ししてやっと彼はわかり始めた.

「そうですわ.

 私,水様の血は素晴らしいと思いますわ.

 素晴らしい!

 素晴らしい!

 素晴らしい!

下女は表情だけ変えずに,勢いは増していくように盛り立てた.

「さあ,神様になるための儀式をお受けなさいませ.

 そうすれば,神としての御自覚もなされましょう.」

「神に…なるための…儀式?」

彼はやたらに怖くなって,冷や汗が額に流れ落ちた.