カハシはふと目が醒めた.

自分が自分であるかどうかすらわからない.

自分の体のようなものがあるのはわかったが,それが自分のものであるかどうかはよくわからなかった.

実感がない.

目の前には顔から繋がるやや膨れて大きなものが見える.

自分のものだろうか.

見える?

この視覚は自分のものなのだろうか.

よくわからない.

前の記憶が甦って来る.

「や,やめてー.」

自分が思った通りに声が出た.

すると他のものも自由に動くようになった.

次第に自分の周りのものもわかるようになった.

部屋は全色薄い水色で統一されていた.

まるで水の中にいるような感じだった.

自分がベットに寝ている事に気づき,いつもそうしているように,足をベットのある床にそっと置いた.

無事に足は着地し,ベッドを上から眺めた.