After -deconstruction "God Ideology"




 カハシは孤児院に戻ると,長に野菜を買ってくるように頼まれた.

そしてカハシも居候の身であり,断る理由もなかったので,買い物を引き受けた.

カハシはまだミナトシティに不案内だったこともあって,長から市場の場所を教えてもらった.

誰かと一緒に行ってもらおうとも思ったが,偶然にも誰もいなかった.


 野菜を売っている市場はミナトシティの中央部の広場にあり,野菜だけでなく,肉や外国から運ばれてきた見た事のない嗜好品やミナトシティには必要のない武器や防具が平然と売られている.

あちらこちらに店が立ち,一時立ち寄る船乗りも多く,うるさい程の賑やかさである.


 カハシはその中をなんとか気をつけてくぐり抜けた.

そして無事に野菜を買うことができた.

カハシはすぐ帰ろうとも考えたが,人ごみの中をもう少し歩こうと思った.

(ちょっと市場を回って行こうかな.)


 しばらく止まりながら歩いていると,カハシよりもやや小さい子どものような人がカハシの方を目掛けて走ってくるのを見かけた.

その少年を見ると,身なりは孤児院にいるカハシよりもそれ以上にかなり汚く,服と呼べるようかどうかすら危うい.

髪の毛はきっときれいな金髪だったのだろう.

その後その少年はカハシに近づいてきて,そして体当たりをして逃げて行ってしまった.

(なんだよ…謝ってほしいな.

 でも…急いでいたのかな.)