「お前がカハシだな.」

「うん.…

 カハシはかすかに聞こえるくらいの小さな声を出し,自分を引っ張った人を見た.

その人は,声からあるいは体からは男だろうと思われる.

しかし,顔は白っぽい仮面で覆われていて,表情をうかがい知ることはできなかった.

そしてその仮面はなぜか妙に光っているように見え,恐ろしささえ感じた.

「どうして僕は…連れ回されているの?」

カハシはあきらめたようにそう言う.

「いい質問だ.

 教えてやろう.

 それはお前がマホウビトであるだけでなく,属性神などというものになる可能性があるからだ.」
★属性神:「世の中を構成すると信じられている要素を統べる神」としか表現できない.

「属性…神…?」

「そうだ.

 お前も神なんだ.

 さっきの女もその周りの奴らも皆そうだ.

 私はどんな神にもひどい目にあった覚えはないが,属性神は要らない.

 お前は神になるべきではない.

 もう神は要らないのだ.

 奴らは神を仕立て上げてそれにすがりたいだけだ.」

【ナルカイナン】の魔法で移動していた.

どこに移動しているのだろうか.

この世界でも東から昇る太陽の方向に進んでいた.

遠くに海が霞んで見える.