マリーとジラスは豚の絵のある船に乗った.

「ようこそグレートピグレート号へ!」

筋骨たくましい船員が賑やかにそしてさわやかに出迎えてくれた.

その船中に入るとまたジラスはもちろん,マリーもびっくりしていた.

「うあー,ごうかだー.」

船内はここまでかという位に飾られていた.

目を瞑っていたときでさえ,その金色のきらきらしたでこぼこ(としかジラスには思えないもの)が消せなかった.

マリーでさえ,

「この前に乗った船に比べるとやったら豪華ね…」

と言う位である.

2人は広い船内をところどころある掲示だけを目安にしながら自分達の船室を探していた.

それでもやっとのことで見つけることができた.

船室のドアを開けたとき,ジラスは驚いた.

「もう船が動いているよ!」

船室のドアの正反対の位置にある丸いよく船にあるような窓は移りゆく砂漠の地を映し出していた.

しかし,船は動いていることを主張しない.

「この船なら楽しそうだ.」

ジラスはほっと安心していた.

マリーもその顔を見ると,ジラスについては安心した.

しかし,マリーの頭の中には看病すべき姉のことで頭が一杯だった.

ジラスはそのことをちょっと忘れていた.