*
航海はしばらく順調に進んでいた.
うまく進めば,次の日にはペテルークに着く予定になっている.
今は相当暖かくなっていて,ジラスも甲板にいて,どこまでも続く海をただただ見つづけていた.
「あんた,海ばっか見てて飽きない?」
後ろにはマリーがそこにいた.
ずいぶん落ち着いた表情であったが,息子にはあきれてしまったようだ.
もう今となっては何度も荷物を確認することはなくなっていた.
「船室よりはまし.
ほんとはもう飽きているけど…,ほら,自然の中にいると気持ちいいんだ.」
「自然なら,リーリュスの村にもたくさんあったじゃない.」
ジラスは黙っていることしかできなかった.
それとも実感をしているのかもしれない.
しばらくしてジラスが言った.
「雨が降りそうだな.そろそろ戻ろうかな.」
しかし船の進む先には雨雲どころか真っ白な雲さえ近づこうともしていなかった.
「あら,雨だって立派な自然よ.
でも,雨なんて降る気配ないわよ.
マリーは不思議だった.
ジラスも何事もなかったように船室の方に戻っていった.
「変な子ね…」
航海はしばらく順調に進んでいた.
うまく進めば,次の日にはペテルークに着く予定になっている.
今は相当暖かくなっていて,ジラスも甲板にいて,どこまでも続く海をただただ見つづけていた.
「あんた,海ばっか見てて飽きない?」
後ろにはマリーがそこにいた.
ずいぶん落ち着いた表情であったが,息子にはあきれてしまったようだ.
もう今となっては何度も荷物を確認することはなくなっていた.
「船室よりはまし.
ほんとはもう飽きているけど…,ほら,自然の中にいると気持ちいいんだ.」
「自然なら,リーリュスの村にもたくさんあったじゃない.」
ジラスは黙っていることしかできなかった.
それとも実感をしているのかもしれない.
しばらくしてジラスが言った.
「雨が降りそうだな.そろそろ戻ろうかな.」
しかし船の進む先には雨雲どころか真っ白な雲さえ近づこうともしていなかった.
「あら,雨だって立派な自然よ.
でも,雨なんて降る気配ないわよ.
マリーは不思議だった.
ジラスも何事もなかったように船室の方に戻っていった.
「変な子ね…」
