After -deconstruction "God Ideology"




 なんとか迷子にならず,ペテルークまでの許可も出た.

颯爽とペテルークまで向かう船に乗り込み,船はすぐに出航した.

ジラスは手続は面倒くさいが,つまらないものではないと思った.


 船は沈みゆく太陽の後を追うようにたゆむことなく進んでいった.

秋の夕暮れの海上は,決して暖かいものではなく,吹きつける風は氷のように冷たい.

ペテルークに近づけば,もっと暖かい気候になるのだが,ムカマハヤタは寒い.

今はもうフラメラスの港を外れて,近くに天然ガスの鉱洞を望むところまで来ている.

ジラスは初めての船旅にわくわくしていた.

外の潮風も気持ち良く感じられた.

「これが海っていうのか…あれがあの鉱洞か…こここれがう,海…寒いーっ!」

ジラスは震えていた.

海に出会えた喜びだけではなく,潮風の洗礼を受けた辛さも受けたようである.

もう今は夕暮れではなかった.

夜で,空にはきれいで小さな月のようなものときらびやかな星のようなものが輝いていた.

ジラスは口にこそ出さなかったが,素敵だと思った.

だけど,冷えには耐えられなくて,すぐに中に戻ってしまった.