ただ,人間間の秩序をそれなりに整えていたのだろう.

魔法国家アーメルスの魔法研究所はマホウビトの存在意義を述べている.

もちろんこの意見はフリティカルをはじめとして,ほぼ全ての国家において受け入れられることはなかった.

その理由もまた,客観的証拠などではなく,政治的な理由だった.


 アーメルスの魔法研究所はもうひとつマホウビトについて触れている.

「マホウビトが正しかったかどうかはまだわからない.

 ただ,今の世界の状況を鑑みると,世界の戦争が終結するためには,世界がひとつになるまで終わることはないだろう.

 なぜなら戦う敵は常にマホウビトのような存在に変わり,敵が変わるごとに新しいマホウビトのような存在が生まれる.

 そして全てのマホウビトのような存在が消えたときこそ,統一されたただ唯一の世界なのである.

 マホウビトが敵なのではない.

 敵のことをマホウビトと呼んでいたに過ぎないのだ.」

この文章は受け入れられる入られない以前の問題だった.

誰も読んでいなかったのである.