After -deconstruction "God Ideology"

 その後辺りは闇に覆われ,氷風が強くなった.

独立神はじっと海を見ていた.

カハシもまねるようにして,海を見ていた.

だが,光が完全に消えると,氷風は少しずつ弱くなっていった.

「魔法の力を失わせたのは,マジックヴィレッジでもその他種々の魔法でもない.

 本当は失われてはいない.

 失われたと思っているだけだ.

 見えていなくても,感じられなくても,この地には魔力に満ちている.

 そう信じてくれれば,魔力は応えてくれる.

 脱魔法感覚(※)をしたものは,見えないものを信じられなかった者だ.」
★脱魔法感覚:魔法感覚の使用を放棄すること.マホウビト政策はこれをしない人,そしてその優れた素質を持つものを撲滅させるものである.

カハシの心は何かに押されるように広がる何かを感じた.

「僕は魔法の力を信じる.」

カハシは今,やっと,何かをわかったかのように,力強く答える.

「そうだ.

 お前は魔力を信じるのだ.

 しかし,魔力とマジックヴィレッジは同一でない.

 マジックヴィレッジは魔力の一部でしかない.

 マジックヴィレッジだけの論理で世界を決めてしまおうなんて,おこがましいのだ.

 世の中を支配しようなんという体系はえらくもなんともない.

 ましてや,神のように支配しようなんというのは,いや,神そのものでさえ,単なるイデオロギーでしかない.

 その後の世界を再構築しようとしているのだからな.

 お前はどうだ,カハシ?」

「はい,新しい世界を創っていきたいです.」