After -deconstruction "God Ideology"




 「こんなところで一体何してるんだ?

 ここには魔法なんてものはもうない.」

二人の会話を聞いていた一人の男がこちらに目を合わさずに,そして迷惑そうにそう言う.

男はまだ五十に満たないように見えるが,頭の毛が少なく,しかもわずかに残っていた毛も全て白く,弱かった.

来ている服はぼろぼろで,あちこちに穴が開いている.

肩からは小さなつぼがぶら下がっているが,外からは何が入っているかはわからない.

そして手にはもりを一本だけ持っていた.

おそらくは魚釣りをしてきたのだろう.

「ないと言えばないのだ.

 だが,あると言えばあるのだ.

 この氷風からは魔法のエネルギーを感じる.」

独立神は,カハシにも言うようにその男に言う.

「もう占いや魔法で俺達を惑わせることをするな.

 …早くここから出て行け.」

男はいらいらしているように見えた.

男はその言葉を残してその場を去っていった.

後に残った感じがどこか寂しそうだった.