After -deconstruction "God Ideology"

キャサをも慰めるようにジラスはそう言う.

それから二人は黙っていた.

「船はいつ出るんだったっけ?」

「ジラスー!

 準備できたの?

 できたらもう行くわよ.」

その主はマリーだった.

「あれ,明日の朝じゃなかったけ?」

「そうだったけど,予定が変わったのよ.」

そのままジラスはキャサのほうを向いた.

そしてこう言った.

「どうやら今みたいだ.」

ジラスは近くにあった適当な荷物を持った.

「あのね,最後に1つお願いしたい事があるの.

 この前の指輪なんだけどね,あれをね,身につけてほしいんだ.

 もしそういうものがいやなら,せめて持っていて欲しいの.」

キャサは時々にしか出さない押し黙った表情をしていた.

ジラスはこくりと頷いた.

「でも,どうして?」

「あれがジラスのお護りになる…そんな気がしてね.」

ジラスは指輪を取りに行ってつけて見せた.

キャサは少し穏やかな表情になっていた.

「それじゃあね.」

キャサはそれでもジラスがこの家に居る限り,そこに居続けた.