オキガミという小さな村がある.

近くにはムカマハヤタという町がある.

マセ伝のあるムカマハヤタとは別の場所である.

山間の村ではなく,海に近い,よく言えば落ち着いた保養地である.

カハシと独立神がこの村に着いたからといって,村は何も変わらずにそのままである.

二人は村の波止場に着いた.

「この村は過去は豚の絵(※)でも入っているような船も来ていた.
★豚の絵:ミナトシティはかつて豚型貯金箱のブニョタによって守られたという奇妙な伝説を持つ.豚の絵とは,このブニョタのことである.(=つまり,ミナトシティからの船ということ)

 だが,もうこの村には客船は多分来ないだろう.

 わずかに残った漁民達が生活の糧にするためだけに荒れた海に漁に出るだけだ.」

と独立神は語るものの,海は心地よい音を立てるのみで,立ち向かってくるようには見えない.