田舎の森 その1


 田舎はこの世の中にそう思う人がいる数だけある.

ここは人間が決めたムカマハヤタという国の同じく人間が作った同名の首都と呼ばれる制度のあるムカマハヤタからはわれわれが言うところの北西の何もない平原の端の方の近くに森があるリーリュスと誰かが呼び出した村がある.


 リーリュスはおそらくわれわれが抱くイメージに近いだろう.

そうでなくともこの村に人が造った建物が多くないということは認めなければならないだろう.


 この村の産業は農業である.

しかも特にこれという産物はない.

それぞれの家で好きなものを作っている.

何を植えても構わない肥えた土壌なのである.


 この村が属しているムカマハヤタの国は,天然ガスで栄えた.

ムカマハヤタ王国のある島の南西部に更に小さな島があり,この島から天然ガスを取ることができる.

この島の地下は洞窟状になっていると言われている.


 ムカマハヤタ王国はその名が示しているように,王政である.

この国の王は評判が代々良いと言われている.

他の国のように,革命は起きていない.

おそらく起きる必要はないのだろう.