冬も少しずつ深くなってきた.

リーリュスの村の家の外にはほとんど人がいない.

寒いからだ.

そんなある日,ジラスの家に郵便配達の人がやって来た.

郵便は決して安いものではなく,めったに来ない.

ジラスの家に来たのは何年ぶりだろうか.

「すみません,郵便です.」

ジラスの母,マリーはびっくりした様子でその手紙を受け取った.

すると,郵便の人は次に仕事があるからと言って,去って行ってしまった.

その手紙は薄い白茶色の封筒のようなものに入れられていた.

「ありがとうございました.」

マリーは扉を閉め,差出人を見てみた.