ここはフィリティカルの奥に最近作られた会議室である.

この会議室は極秘とされていたが,もはや意味がなかった.

城にいる兵士たちはアーメルスの魔法兵(※)のように生気を失っていて,反乱をおこしそうな奴はもう残っていない.
★魔法兵:魔法を使う事のできる兵士のこと.しかし,時には魔法で操られている兵士という可能性もありうる.なお,戦の基本はやはり物理攻撃が中心で,魔法は使われない.というよりも魔法は戦を多くやる国にとっては,忌み嫌われることが多い.例えば,フィリティカルのマボウビト弾圧はその例.反対にアーメルスの魔法兵も有名.

しかし外からの侵入者に対しては恐ろしいほどの素早い動きと鋭い一撃で彼らよりも生気を奪われてしまうことは間違いなく,実際に奪われた人を数え上げはじめたらきりがない.

この会議室はジム軍相が国王になってから完成したものだが,独裁政治なので会議は開かれていない.

開かれるとしても,アーメルスの首相スーイアとの密談である.

この日も密談が行われていた.

「もうそろそろマホウビトも全滅したのかしら?」

スーイアが敵意剥き出しでジムにそう尋ねる.

「もうほとんど死んでいるはずだ.

 エジンソン(※)も殺したことだしな.」
★エジンソン:マホウビトのなかでも大物.彼は地上にいるマホウビトを保護していた.ジラス(水神)を過去には保護していた.闇軍団との関係はなかったが,光軍団とも関係がなかったと思われる.フィリティカル国の政策によって処刑されてしまった.

ジムも今まで向いていた方からスーイアのほうをくるりと向いて自慢そうに答える.