After -deconstruction "God Ideology"




 幸いにして雷神はすぐわなに引っかかった.

聖神と火神が守っていた場所にふらりと現れた.

聖神の隣を見ればあからさまな雷神が過ぎていった.

聖神は火神にウインクをし,作戦実行を指示した.

火神は雷神目がけて走った.

マテーラは大きく,そして長く断続的に吠えた.

それを聞いた土神と風神も打ち合わせを何もしなかったが,何かあるということがわかったようだ.

聖神も走り出して,追いかけられる雷神も聖神と火神に追いかけられていることもわかり,作戦どおり道を曲がって走っていった.


 やはり雷神の俊足ぶりは前評判どおりで聖神(マテーラを含めて)や火神も追いつけなかった.

そういう意味では作戦は正しかった.

雷神は逃げているつもりだったが,実際は追い込まれていった.

今雷神は正面に土神と風神にも追い詰められていることもわかった.

「ちっ」

雷神はそうも言うが,左右を見回していた.

運良く向かって左側に道を見つけた.

すぐにさっと左側に逃げた.

ところが,その先には水神がいた.

予定通りの行き止まりである.

「もういい加減あきらめなさい.

 私達はあなたを殺したい訳じゃないわ.

 あなたに神になってほしいの.

 あなたは自分でもわかっていると思うけど,足が速いでしょう.

 その速さははっきり言って異常だわ.

 それも雷の神の力が…」

聖神はいつになく豊かな喜びをもって雷神に語っていた.

雷神はというと,そんなことはお構いなしで,またあちこちを見回していた.