洞窟の中には土着の神の信者ではない火神と水神には特に見るべきものはなかった.

壁はごつごつしているだけで,光っているわけでもない.

涼しかったが,気の抜けるような感じがしただけだった.

もちろん,神の姿なんて現実にも心の中にも見出すことはできなかった.

祭壇は古くて今にも壊れそうであったが,よく使い込まれているようだった.

何らかの儀式があったのだろう.


 2人はもう帰る気になっていた.

許しを乞う事は結局はしなかった.

「おれの言ったとおりだ.

 神なんてここにはいないんだ.

 金払うのか…詐欺だな.」

火神には珍しく嫌気をさした後ろ向きの発言だった.

「はあ,そうだよね.…!」

水神は自分のローブのあちこちを触っていた.

「お前,金ないのか.

 忘れたのか?」