After -deconstruction "God Ideology"




 部屋の中は驚けないほどそのままだった.

窓は朽ちていたが,雑草のようなものは見受けられない.

ドブールの雨は強く家を叩いているが,食堂とは違っていて,雨漏りはほとんどしていなかった.

ベットの上にはちりが薄く積もっているが,寝たくないほどではない.

近くにある小さな抽斗の中も多分変わっていない.

正確にはわからないというのが本当のところだろう.

中を見ると,昔書いたような落書きのようなものが入っていた.

(こんなもの,いつ書いたんだ?)


 それからしばらくすると,目が醒めた.

ついつい眠ってしまったのだ.

窓からはもう雨ではなく,綺麗な夕日が差し込んできていた.

ドブールはたいてい通り雨のようなもので,過ぎ去った後はとても荘厳で美しい夕焼けが広がることが多
い.

(キャサはいるだろうか…)

遠くにある太陽と呼ばれているものを眺めながらつぶやいてみた.

ふっと立とうとしたが,火呪の鎧があろうことか,足を引っ張った.

鎧はまだ水分を含んでいたようだ.

それでも何とか立ち上がってゆっくりと歩き始めた.

自分の部屋を出た.

ほとんどないに等しい廊下を歩き,抜け落ちそうな食堂を通り,自分の家だった場所を後にした.