*
思い出の詰まった荒れて何もない畑を歩き回るのを止めた.
「こんなことになるなら,きちんと手伝っておけばよかった.」
豊かな土の上にひざをついて身体を震わせていた.
しばらくそのまま動けなかった.
ところが天はそうではなかった.
曇りの空の色はいつになく濃灰色でついに泣き始めてしまった.
それはこの時期特有の一時的なもので,勢いは激しい,もちろんジラスはそんなことはよく知っていた.
「雨か…」
それでもしばらくそのままだった.
ジラスだった頃の普段着ではなく,火呪の鎧であったが,それでも鎧の隙間から豊かな水や土が汚く交じり合ったものが染み込んでいた.
天は逆に威力を強めてやがてリーリュス全体に一瞬の光を与えた.
怒りも与えた.
それでもジラスはそのままだった.
天の怒りもしばらく続いていた.
そしてその怒りは荒れた畑のほうにも向けられた.
畑のそばに植わっている頑丈なトロイスの木が焼け焦げた.
★トロイスの木:ムカマハヤタ周辺に植生する針葉樹.成長すると高さが男性の身長の3倍程になると言われている.鉄道沿線に多くある.ムカマハヤタの田舎の象徴でもある.
雨が降っていても,当然その事を防ぐことができなかった.
「雷か…雷の神…か.」
やっとジラスは畑の上に雨に滴れながら堂々と立ち,火神に戻った.
思い出の詰まった荒れて何もない畑を歩き回るのを止めた.
「こんなことになるなら,きちんと手伝っておけばよかった.」
豊かな土の上にひざをついて身体を震わせていた.
しばらくそのまま動けなかった.
ところが天はそうではなかった.
曇りの空の色はいつになく濃灰色でついに泣き始めてしまった.
それはこの時期特有の一時的なもので,勢いは激しい,もちろんジラスはそんなことはよく知っていた.
「雨か…」
それでもしばらくそのままだった.
ジラスだった頃の普段着ではなく,火呪の鎧であったが,それでも鎧の隙間から豊かな水や土が汚く交じり合ったものが染み込んでいた.
天は逆に威力を強めてやがてリーリュス全体に一瞬の光を与えた.
怒りも与えた.
それでもジラスはそのままだった.
天の怒りもしばらく続いていた.
そしてその怒りは荒れた畑のほうにも向けられた.
畑のそばに植わっている頑丈なトロイスの木が焼け焦げた.
★トロイスの木:ムカマハヤタ周辺に植生する針葉樹.成長すると高さが男性の身長の3倍程になると言われている.鉄道沿線に多くある.ムカマハヤタの田舎の象徴でもある.
雨が降っていても,当然その事を防ぐことができなかった.
「雷か…雷の神…か.」
やっとジラスは畑の上に雨に滴れながら堂々と立ち,火神に戻った.
