「火様,初陣の召集でございます.」

下女がいつものように素っ気無く言う.

「召集?」

「そうでございます.

 火様は水様と共にリーリュスへ雷様と生様の探索をするという指示が出されております.」

「リ,リーリュスか….…よし,行くぞ.」

「火様,リーリュスに何があったのですか.」

下女は相変わらずだった.

ジラスは背筋がぞくぞくした.

何かを見透かされたような気がして,ちょっと怖くなった.

火神はそこで軽く頷いた.


 火神はすぐに部屋を出て神殿の入口の方へと走って行った.

下女とは部屋の前で別れた.

下女は下女で別に仕事があるらしい.

すぐに足早に歩いて行ってしまった.

理由は教えてくれなかった.

入口では,もう水神が待っていた.

「ジラ…じゃなかった火神,僕は目的地のリーリュスを知らないけど,火神である君なら知っているという話を星様がお話なさったから.」

「まあな.

 だっておれの故郷だぜ.

 言わなかったか.」

火神は辺り,とりわけ下女に気をつけて水神にそっと囁いた.