いつものように、仕事して、家に帰れば妻が居て、子供がいて……仕事の疲れを癒してくれて。
そんな日常がいつまでも続くと信じていたんだ。
「ただいまー。」
4月8日。
実に平凡な1日だった。
……仕事を終えて、家に帰ってくるまでは。
マンションの廊下にまで響くほどの大声で泣いている娘。
家の中に入ると、案の定 娘が廊下をドタドタと走ってきて 俺に飛びついてきた。
もっとも、まだ小学2年生だから 背が低くて 俺の腰上くらいの身長しかないけど。
「何だ⁇愛弓、またママに怒られたのか⁇」
娘をなだめる意味も込めて、俺は娘を抱っこした。
いつもは、これで泣き止むのに 今日はまだ泣き続けている。
「愛弓⁇何が悲しくて泣いているんだ⁇」
娘はしゃくりあげながら、
「ママが……ママが……!!!」
ただそれだけを繰り返した。
異様な何かを感じて、俺は リビングに入った。