◇ヌードで魅せて◇



美術室に戻ると、美帆が笑顔で迎えてくれた。

その笑顔に何度救われてきただろう。

ここであたしの帰りを待っていてくれたことが、素直に嬉しかった。


遅くなったことにも何も触れず、何も聞かないでいてくれた。

上手く笑えていないことにも、触れないでいてくれた。


購買の袋から取り出したのはメロンパン。


「これ、好きでしょ?」

「うん、ありがと」


大好きなメロンパンを受け取って。

大きな口をあけて頬張った。


「……美味しい」

「そう、よかった」

「うん、美味しいよ」


無意識に一粒だけ流れた涙がメロンパンに染み込んでいく。

ちょっぴり切ない味がしたのは、そのせいかもしれない。


「食べたら作品もっていっちゃおうか」

「うん、そうしよっか」


そう言って、もう一口メロンパンにかじりついた。

その隣で美帆も同じようにパンに頬張って。

他愛もない話で、二人クスクスと笑いあった。