◇ヌードで魅せて◇



気分を変えたくて屋上へと向った。

誰もいないのは、きっとこの天気のせい。


梅雨時だもん、雨が降るのは当たり前。


だけど、ここ最近ずっと晴れていたのに、今日はどんよりと灰色の厚い雲に覆われていた。

いつ雨が降ってもおかしくないような空。

なんだか今のあたしみたいだ。


カシャン…

フェンスに手をかけると、金網が擦れる音が響く。

昨日の放課後見た景色と同じ、みんな楽しそうに作業をしている。


雨…降らなければいいのに……


そう思いながらもう一度空を見上げたときだった。



「おい」


突然聞こえてきた声に、ビクッと肩が震えた。

低くて冷たい声。

振り返らなくても、それが誰のものかよくわかる。


何度もあたしの頭の中で再生されていた先輩の声だもん。


ドクン、ドクン、と大きくなる鼓動。

口から心臓が飛び出てしまいそうなほど激しく跳ね上がる。


重たい空気に、フェンスを握る手に自然と力が入った。



「どうしたんですか…? 先輩」


ゆっくりと振り返る。

あたし、上手く笑えてる?