気分を変えたくて屋上へと向った。
誰もいないのは、きっとこの天気のせい。
梅雨時だもん、雨が降るのは当たり前。
だけど、ここ最近ずっと晴れていたのに、今日はどんよりと灰色の厚い雲に覆われていた。
いつ雨が降ってもおかしくないような空。
なんだか今のあたしみたいだ。
カシャン…
フェンスに手をかけると、金網が擦れる音が響く。
昨日の放課後見た景色と同じ、みんな楽しそうに作業をしている。
雨…降らなければいいのに……
そう思いながらもう一度空を見上げたときだった。
「おい」
突然聞こえてきた声に、ビクッと肩が震えた。
低くて冷たい声。
振り返らなくても、それが誰のものかよくわかる。
何度もあたしの頭の中で再生されていた先輩の声だもん。
ドクン、ドクン、と大きくなる鼓動。
口から心臓が飛び出てしまいそうなほど激しく跳ね上がる。
重たい空気に、フェンスを握る手に自然と力が入った。
「どうしたんですか…? 先輩」
ゆっくりと振り返る。
あたし、上手く笑えてる?

