「…出来た」
お昼も食べずにひたすら描き続けて。
完成した作品を前に達成感で涙が込み上げてくる。
昨日大泣きしてしまって緩んだ涙腺のせいで、こんなにも涙もろくなってる。
先輩を思って描いた先輩の後ろ姿。
思った以上によくできたと嬉しいのに。
コレで本当に終わりなんだと少し悲しくもあった。
絵に集中している間だけは、どんなに先輩を思っていいのだと。
この絵を完成させるためには、先輩を思い浮かべなければ出来ないんだと勝手に自分にいいように解釈していた。
だけど、この絵が完成した今。
もう、先輩を思うのはやめようって決めたんだ。
「…頑張ったね」
いつの間にか後ろにいた美帆の声に、ただゆっくりと頷いた。
声を出せなかったのは、口を開けば一緒に嗚咽も零れてしまいそうだったから。
横に並んで一緒に出来上がった絵を眺める美帆の横顔がすごく優しくて。
震えるあたしの手を、何も言わずに握り締めてくれる美帆の手がすごく優しかった。

