◇ヌードで魅せて◇



「じゃあ、先に部室行って用意しとくわ」

「うん、じゃあ着替えたらすぐ行くね」

「おう」


じゃあ、と手を上げて教室を出て行った井上くんを見送って、そそくさと身支度を整え始める梓を横目に。

二人にバレないように小さな溜息を一つ。


「あたしはいいや、まだ作品も出来上がってないからやっちゃわないと」

「作品って美術部の?」

「うん、そう。今日中に仕上げなきゃいけないから」

「そうなんだ…、うん、わかった。井上には後で写真もらえるように言っとくね」

「うん、ありがと」


着替え終わって教室を出たあと、しっかりと鍵がかかったことを確認して。

教室に忘れ物をしたとウソをついて美帆と梓と別れた。


美術室へ行くのに写真部の前を通るのがいつもの道順だったけど。

わざわざ大回りして写真部を避けて美術室へと向いたかった。


この時間に先輩はいないかもしれない。

会う確立なんて、ほぼないに違いない。

だけど、もし…

なんて考えると怖かった。


会いたくない。

今、会ったらまた気持ちが溢れちゃいそうだから。


電源を切ったままのスマホは、意味を成していなかった。

あのメッセージを先輩は見たのか。

見てどう思ったのか。

少しでも気にしてくれただろうか。


考えたってもうどうしようもないのに。