「井上、可愛く撮ってよね!」
「おう、任せとけ! 実物以上に可愛く撮ってやるからな~」
「ちょ、それどういう意味!?」
梓と井上くんの言い合いを傍観しながら、あたしと美帆は顔を合わせて笑った。
この二人、幼なじみらしく普段から言い合いばかりだけどそんなの日常茶飯事。
すごく仲がいいのはクラスでも有名な話。
「ほら、柴崎も笑って」
急に向けられたカメラに、少しズキンと痛んだ胸をギュッと押さえて。
小さく息を吐き出す。
先輩の持っているものと似ている一眼レフのカメラ。
今ここでカメラを向けているのが先輩だったら、どんなによかっただろう。
そんなことを思う自分に呆れながらも、どうにか笑顔を作ろうと努力した。
「笑顔がかたーい。なに葵、緊張してんの!?」
ムニュっと両頬を摘まれて、ビヨーンと伸びた頬を見てケラケラ笑う梓と、そんなあたしたちを撮る井上くん。
「ちょ、変な顔撮らないでよ!」
「あはは、いい顔してたよ」
「梓ひどーい、美帆~助けてよ」
美帆に飛びつけば、そんなあたしを受け止めてくれる美帆。
よしよしと頭を撫でてくれる美帆に甘えるようにしがみついていると。
「ずるーい、あたしも仲間に入れてよ!」
あたしたちがじゃれあっているように見えた梓も勢いよく突進してくる。
二人にギューギューに押しつぶされて、またも変顔。
それを見て二人は大笑いしてて。
井上くんのカメラは、ずっとそんなあたしたちの光景を写真に収め続けていた。

