「…恥ずかしいんですけど」
「まあまあ」
真っ赤になるあたしを見下ろす梓の瞳で、今の状況を面白がっているのがよくわかる。
目立つの好きじゃないのに…なんてあたしの独り言は軽くスルーされて。
そのままの状態で連れて行かれたのは、あたしたちのクラスが更衣室として借りている空き教室だった。
鍵のかかっているこの部屋はもちろん誰もいなくて。
梓はあらかじめ借りてきていた鍵で中に入るなり、クルリと振り返るなり満面の笑みで『写真、撮ろう!』と瞳を輝かせていた。
「写真?」
「そう、写真。もちろんフル装備で!」
興奮気味の梓の言葉の意味をいまいち理解できなくて小首を傾げるあたしの隣で、美帆はクスクス笑っているだけ。
「衣装着て、撮るの!」
「えっ」
「ヘアメイクも完璧のフル装備でね」
「あぁ…なるほど」
当日の格好で写真を撮ろうって、そういうことか。
「アズだけ当日違うシフトでしょ? 当日は忙しくて写真なんて撮ってる暇もあるかわからないし、だから今日撮ろうってアズが」
急に思い立って、すぐに行動なんて梓らしい。
それにしたって。
「だからって、こんなふうに連行されなくてもよかったんじゃないの」
「うん、そうね。でも楽しいかなって」
楽しくないわ! なんて、あたしの言葉もまた可憐にスルーしてすでに着替え始める梓の姿に溜息が零れた。

