いよいよと言う感じで盛り上がる校内。

まだ本番前なのに、みんなワクワクいた面持ちで気持ちも高まっていた。

こんなんで当日は逆に疲れきってるんじゃないだろうか…なんて人のこと言えないくらい、今の自分も楽しい気持ちを抑えられずワクワクしていた。


「葵、行くよ」


ほぼ準備も終わった教室のなかで、あたしに声をかけてきたのは梓だった。

その隣には美帆もいる。

二人でニコニコ満面の笑顔で、当日配る予定のチラシを作成しているあたしのところに近寄ってきた。


「行くってどこへ?」


よくわからなくて小首を傾げるあたしの腕を、両隣から二人に拘束されて。


「えっ…!?」


ズルズルと引きずられるようにして教室から連れ出された。


「ど、どこ行くの!?」

「まあまあ、着いてくればわかるって」


梓の声に何かを企んでる感が伝わってきて、内心ドキドキしているけど。

美帆を見れば、それがそんなに悪いことでもなさそうでホッとしてる自分もいる。


二人に捕獲されるあたしを、廊下ですれ違う生徒たちは不思議そうに眺めていて。


意味のわからないあたしはただ恥ずかしいばかりだった。

チビのあたしをまるで珍獣でも見るかのような好奇な眼差しを向けて。

クスクス笑われる始末。