校内のいたるところで文化祭の準備をする生徒の声がして。
空き教室に入ったところで、廊下から聞こえてくる声に落ち着いて話も出来ないと思ったのだろう。
授業中や昼休みはチラホラと人影もある屋上も、さすがに放課後には誰もいなかった。
それにたとえ誰かが来たとしても、この広い屋上の端っこのほうで声を潜めて話していれば聞かれることもない。
屋外での話し声なんて、校内みたいに響くことなく空と風に吸い込まれて消えていく。
美帆以外、誰にも聞かれたくなかったあたしの気持ち。
だから、この場所を選んでくれたことが素直に嬉しかった。
「もうすぐだね…文化祭」
フェンスに寄り掛かり校庭を見下ろす美帆の隣に並んで、同じように校庭を見下ろした。
文化祭のアーチもほぼ完成。
露店用のテントも様々な飾り付けが成されていて、それぞれのクラスの個性が溢れている。
楽しそうな笑い声がここまで聞こえてきた。
「あたしね……」
「…うん」
そんな光景を眺めながら、ポツリと話し出したあたしの言葉に。
美帆は、あたしと同じように校庭を見たまま頷いた。
「……好き、なんだ」
「うん…」
「本当は…ずっと……好きだったんだ、と思う」
「うん…そっか」

